何年か前の東京国際ブックフェア、うちは版元ドットコムで共同出展していたのですが、うちの著者から、「向こうの方に、西日本出版社みたいな空気感の出版社があるよ」と、「なんかなあ、ユルイねん」、それがミシマ社さんでした。
ミシマ社さんの著者は、実績のある人が並び、うちは、なにしろ出会い系出版社ですから、取材に来たライター、飲み会で隣に座った先生、出版記念パーティにきてくれた研究者、ほとんどが本を出すのは初めてだけど、なんか気が合うというか、この人の考えを全国に届けたいと思えば、そこから長い長い時間をかけて本を出す、知る人ぞ知る、知らん人は知らんという著者が並ぶ、出版社。似てるなんて恐れ多いと思っていましたが、この本を読んで、思いは確かに似ていると思いました。
出版社は計画的にやれるもんではないです、「事業計画を作らないと」という、周りの人とはいつも喧嘩しています。
「必然性のあるもんしか、出したらあかんねん」だから、今月は見えても、半年後はどうなっているのかわからない。
ミシマ社さんも、計画性なく思いからスタートしたようです。
大学を出て駸々堂出版に入ったとき、「思い通りの本が作れるわけではないんや」、当たり前のことに気づきました。「自分の出したい本を作るには、自分で出版社をやるしかない」その遠い思いが、今、僕を動かしています。
創業時、300万円しかなかったというのも一緒、本を作ったら、お金が無くなって、運転資金が必要だと知ったのも、似ています。あかんがな、ですが。ミシマさんは、ライターと編集で乗り切り、うちは他の出版社の営業アドバイザーと大学講師などで乗り切りました。得意分野で乗り切ってきたわけですね。
ミシマ社さんは、取次さんが支配する社会から脱却して、書店さんと直取引をされています、そこは取次さんを通じて、本を販売しているうちとは違いますし、この差は思想的にも大きいとは思うのですが、そんなのは“こむね”、“おおむね”似ているので、なんか連携などもできたらええなあ。
うちは、創業時とおんなじ3名でやっています、ミシマさんのとこは、9名ほど、もう出版社としては中堅です。そこは、ほんまえらいなあと思います、二重の意味で。